プロホッケーチームの東北フリーブレイズ所属、田中 遼(たなか・りょう)さんは、6歳からアイスホッケーを始めたそうです。そして長年プロとして活躍してきましたが、選手を引退したあとの将来への希望や不安もあるといいます。そこでこれまでの選手人生を振り返ってもらいつつ、こうした選手たちの「セカンドキャリア」を支える花王「サクセス」ブランドの取り組みについて深掘りしていきます。

■練習漬けだったこれまでの半生

<プロフィール>
今年で37歳になる田中さんは北海道・札幌市生まれ。6歳からアイスホッケーの世界に飛び込み、高校まで札幌で過ごしたあと、大学生時代は東京で生活することになります。その後、東北フリーブレイズに所属し、プロ生活は14年目を迎えるベテラン選手です。

長く選手として活躍してきた理由について聞くと、やはり平坦な道のりではなかったとのこと。

「試合に勝てば当然モチベーションは上がりますが、なかなか結果が出なかったり評価されなかったりすることはありますよね。そういうときに『もう辞めてやる!』と思ったことは正直、何度もありました」(田中さん)

さらに、プロデビュー当時の思い出を聞くと「いきなり大怪我をして欠場が続いたんです。練習も満足にできないし、かなり不安な毎日でしたね」と言い、かなり苦労されたという過去もあるそう。当然ながら、アスリートとしてのモチベーションを維持していくのは大変な様子。

「やはり試合よりは日常の練習の方が多いわけで、そこで『絶対に俺が一番やれる』というモチベーションを持たないとダメだなと思っています。あとは体調管理も大事ですね。若いときは『ご飯をいっぱい食べる』みたいなことしか考えていませんでしたが、最近はサプリメントなどで疲労回復なども取り入れています」(田中さん)

現在の練習ルーティンは平日の5日間で、チームのミーティング、陸上トレーニング、氷上トレーニング、筋力トレーニングが主な項目とのこと。フォワードとして活躍されていますが、自身のことを「まわりの選手を活かすことができる選手だと思っています」と評価。

「昔から後輩が好きで、その信頼関係を築くことも自分の得意な仕事(?)ですね」と、チームワークを重視していると話してくれました。

その言葉を裏付けるように、本取材時もチームメイトが控室で和気あいあいとしている様子が見て取れ、東北フリーブレイズの強さの一端を垣間見た気がします。

■これからのセカンドキャリアについて

一喜一憂しながらも、充実した選手生活を送っている田中さんですが、実際にこれから先「引退」を迎えたあと、どのような人生を歩んでいくのか。そこに不安や葛藤、そして希望もあると言います。

「まあ正直、アイスホッケーしかやってこなかったので、企業などで働いている友人と比べると不安になることはありますね」(田中さん)

ふたりのお子さんを持つ父としても、今後の人生についてはいろいろと考えるところがある様子。平均的な選手寿命も聞いたところ、30代前半くらいとのことで田中さんは現在、岐路に立たされています。

しかし、これは選手個人の問題ではなく、大きく言えばスポーツ産業全体の課題でもあるというのが「キャリアデザインプロジェクト」の考え方です。

このキャリアデザインプロジェクトは2021年に設立。アスリートのセカンドキャリアをプロデュースする一般社団法人「アポロプロジェクト」と、東北フリーブレイズの共同事業として発足されました。

具体的な内容としては、企業との連携によるインターンシップや、「360度サーベイ」と呼ばれるマインドチェンジのプログラムなどを実践することで、選手たちのセカンドキャリアに対する悩みをサポートする取り組みを行います。

田中さんも今回、このキャリアデザインプロジェクトに参加。その感想を「参加してよかったです!」と即答。その具体的な活動の一環ではインターンとして、企業に研修へ行ったそうです。

「自分は人見知りなので最初はビビってたんですけど、いろいろな人のお話が聞けてよかったです。知らない人と働くなんて無理、と決めつけていましたが、『とりあえず行動する』という僕の考え方を肯定してくださって、とてもいい経験になりました」(田中さん)

と、その体験が貴重だったことを話してくれました。いまはアイスホッケー選手のみの人生経験がコンプレックスだったことを、いまは逆に強みに考えられるようになったとのこと。

また、「360度サーベイ」という自己の振り返りをするプログラムのおかげで、内心を振り返る習慣がつき、自分の価値を低くとらえたり、周囲のせいにしたりすることもなくなったそう。

その効果はさっそくチームプレイの強化にも生かされていると言い、「今季からチーム全員が『キャリアデザインプロジェクト』に参加するようになりましたが、本当にいいことだと思います」と前向きにとらえています。

■花王サクセスとの伴走

さて、このキャリアデザインプロジェクトに協賛しているのが、花王「サクセス」ブランドです。「前を向くチカラに」をブランドメッセージとして掲げており、育毛剤やシャンプーといった商品を展開。

チームが選手の今とこれからの成長をサポートする部分と、サクセスが掲げる『自分の可能性を信じて、成長し続けたいと願うすべての人々』をサポートするというブランドの想いに共通する部分があると考え、協賛をスタート。

実は30代からサクセスのユーザーだったという田中さん、「練習のあとのシャワーや遠征のときにも持っていってます」と愛用ぶりを披露してくれました。

常に結果を求められるプレッシャーにさらされるプロスポーツの世界において、メンタルを強く保てることもアスリートの特徴ですが、その思いを以下のようにまとめてくれました。

「同世代は10年以上前から社会で活躍している人間が多いなか、自分が仕事でそこに加わったときに“失敗できない”と思っていました。アイスホッケーだけの人生をネガティブに考えていたんです。でも今はキャリアデザインプロジェクトを通じて、それはむしろ自分の強みに変わり自信につながっている。社会に出れば年下の人間もすべて先輩になりますが、そこは恥ずかしいと思うこともなく、何事も社会人の先輩として学んでいきます。これまで何度もプロの世界で苦難を乗り越えてきた自負はありますし、常に前を向いてチャレンジしていこうと思います」(田中さん)

サクセスはいまも、これからも納得できる自分でいるために成長し続けたいと考える人を応援していきます。